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【書評】映画館で名画を観たくなる「キネマの神様」

「キネマの神様」に、毎日祈ってるから、って

ギャンブルで多額の借金を抱える父。しかし、ギャンブルと同じように映画を愛する父は、なんとなく憎めない。映画が、父の人生だけではなく、娘の人生も変えてくれる物語です。

本・著者の紹介

書籍名キネマの神様
著者名原田マハ
出版社文春文庫
出版年2011年5月
ジャンル小説
ページ数331

原田マハさんは、本作をはじめ、映像化作品の原作も多く執筆されているヒットメーカー。

美術館で働くキュレーターとしての実績も持ち、「楽園のカンヴァス」「たゆたえども沈まず」「暗幕のゲルニカ」など、アートをテーマにした作品も多く執筆されています。

本作、キネマの神様は、2021年に松竹映画100周年記念作品として、沢田研二さん、菅田将暉さんのW主演で映画化されています。原作小説とはあらすじがずいぶん異なりますが、原作小説と映画版との違いを楽しんでみるのも良いかも知れませんね。

なぜこの本を選んだのか

僕は、三人屋の書評でも紹介したように原田ひ香さんのファンなので、本屋さんで同じ「ハラダ」の原田マハさんのお名前はよく見かけていました。気にはなっていたのもの、読む機会がなかったのですが、先日、たまたま職場で原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」を手に取る機会があり、すっかり好きになってしまいました。

そして、「本日は……」の読了報告をXに投稿した時、フォロワーさんから「原田マハさんなら、キネマの神様が面白かった」と教えてもらったことが、この本を選んだ理由です。

印象に残った一節

この世に映画がある限り、人々は映画館へ出かけていくだろう。家族と、友人と、恋人と……ひとり涙したいときには、ひとりぼっちで。

大手の不動産デベロッパーで働き、自身の夢でもあったシネコンの建設に携わっていた主人公の歩。この言葉は、シネコンの企画書につづられた歩の文章です。この言葉を、歩は、大好きな映画「ニュー・シネマ・パラダイス」を観た時、ラストシーンを父親の後ろ姿に重ねながら思い出します。

僕は今年で44歳なので、10代~20代の頃は映画館は特別で、でも今よりも身近な場所でした。100席~200席くらいしかないような小さな映画館が2軒あって、デートコースの定番でもありました。

今は、地元駅に映画館が無くなって、映画を観に行こうと思ったらシネコンしかないけれど、それでも映画館って特別だなって思うのです。

感想

ネタバレにならない程度にしておきますが、本作は、映画を通して、これまで接点がなかったもの同士が確かな友情を築いていく物語です。

作中では、高齢者と呼ばれる年代の男たちの友情が描かれています。僕は、個人的に三浦しをんさんの「舟を編む」などでも描かれているような「おっさん同士」の友情に弱いので、個人的にも非常に好みな展開です。

また、僕も娘を持つ父親ですので、どうしても父の「ゴウ」ちゃんの目線になってしまいます。ギャンブル好きでどうしようもない、でも、映画好きでどこか憎めないお父さんでもあります。娘の歩も、そんな父親に対して呆れ、どこか諦めながらも、父親に対する愛情を感じさせられて、羨ましいなぁと思ってしまいます。

読んだら映画館に行きたくなる。欲を言えば名画座に

読了後、とにかく映画館に行きたくなってしまいました。

とはいえ、地元市には悲しいことに、思い立ってすぐに行ける映画館はありません。なので、Amazonプライムで、作中でもキーになっている映画「ニュー・シネマ・パラダイス」を観ました。

また、キネマの神様を読んでからは少し間が空いてしまいましたが、娘たちにも推された「国宝」を映画館に観に行きました。大スクリーンならではの迫力のある映像美と、大音響のBGMはやはり映画館ならではのもの。

今回は、ショッピングモール内のシネマコンプレックスに行きましたが、機会があれば、作中に出てくるような名画座にも行ってみたいものです。

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